都会で楽しむブルーベリー

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総責任者:渡辺 順司
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環境の紹介

都会の中の自然
 ブルーベリーは、都会の屋上やバルコニーでの鉢植えでも、大粒品種を選択すれば最大500円玉サイズの果実を収穫することができる。
  素人でも100円玉サイズの果実を収穫することは、それほど難しいことではない。もちろん、収量勝負は無理だが、ブルーベリーという果樹は、品質やサイズにおいては、必ずしも土地利用型栽培に分があるとは限らない。

 ビルが建ち並ぶ都会といえども、真上の空を見上げれば、どことも同じ太陽の光が降り注ぐのである。ある程度の時間、陽の光を受ける環境があるならば、毎年必ず健全に成育し収穫できるかどうかは別として、少なくとも、その年くらいは緑を楽しむことが可能だろう。
 その後も、継続する気になってから、栽培を勉強すればいいのではないだろうか。ガーデニングが一大ブームになったが、そのガーデニング人口のうちのほとんどは、表面上のイメージだけが先行しているだけで、裏方の作業になど興味を抱いてはいないはずである。

 実際のところ、翌年も健全に結実させるには、それなりの世話が必要である。また、ある程度の収穫が確保できるほどにブルーベリー栽培に精通したならば、今度はヒヨドリに目をつけられることになる。
  都会で見かける鳥といえば、ハトかスズメかカラスということになるが、ブルーベリーを育てることによって、ヒヨドリも都会にひっそりと順応していたのを知ることができる。
  ヒヨドリは、甘いものが好みとあって、ブルーベリーの果実には極めて敏感である。ほとんど毎日のように同じ時間帯に番(つがい)でやってきては、完熟した果実だけを持ち去っていく。
  明日こそ完熟すると我慢していたブルーベリー果実を、早朝に横取りされることもしばしばである。

 また、東京タワーや六本木ヒルズに代表される大都会の屋上には、訪花昆虫など居ないものと思いきや、意外と多くの虫たちがやってくる。その行動半径が、約2kmといわれるセイヨウミツバチも4月の開花期には、ブルーベリーの受粉に一役かってくれる。
  ニホンミツバチとは異なり、野生には順応できないセイヨウミツバチは、ほとんどが人工飼育のものだという。ここから2Km以内のいったい何処に巣があるというのだろうか。
  写真は、南部ハイブッシュ系品種デュプリン(Duplin)の花の蜜を求めてやって来たセイヨウミツバチである。

 集団行動のミツバチとは違って、単独行動のクロマルハナバチも毎日規則正しくやってくる。クロマルハナバチは、体が大きく黒いために、よくクマバチと間違えられるのだが、性格は穏やかで人を刺すことなどまずは有り得ない。さらに、相当な臆病者らしっく、人が近づくとすぐさま飛び去ってしまう。
 しかし、人気がなくなると大きな羽音をたてて、またすぐに戻ってくる。そして、ハナバチ類に分類されるだけあって、ブルーベリーの小さな花冠からも盛んに蜜や花粉を集めはじめる。後ろ足には徐々に花粉団子が形成されていく。
  写真は、ラビットアイ系品種クライマックス(Climax)の蜜を吸うクロマルハナバチである。

 ブルーベリーの訪花昆虫で外形が極めて特徴的なのは、ニッポンヒゲナガハナバチである。とにかく触覚の長さが体とほぼ同等である。
  ニッポンヒゲナガハナバチは、クロマルハナバチ同様にかなりの臆病者であるとともに、相当に慎重な性格の持ち主である。ブルーベリーの周りを飛び回るばかりで、なかなか留まってくれないため、撮影にはいつも苦労する。
  写真は、その敏捷な動きのニッポンヒゲナガハナバチが、南部ハイブッシュ系品種シャープブルー(Sharpblue)の葉に留まった瞬間とラビットアイ系品種ホームベル(Homebell)の花の蜜を吸う瞬間を捉えた。体毛の色が異なる個体であるが、ともに長い触覚が印象的である。

  アゲハチョウ(ナミアゲハ)も、朝早くから比較的大きな花冠を持つ北部ハイブッシュ系品種チャンドラー(Chandler)の蜜を吸っていた。早朝、朝日を受けてぼんやりと浮かび上がったように見える泉ガーデンタワーの背景と対照的な羽の紋様が印象的だった。

  2005年9月11日、信じがたいものを発見した。それは、ハラビロカマキリであった。そのハラビロカマキリは、北部ハイブッシュ系品種コビル(Coville)の大きな葉の下に隠れていた。
  どう考えても、この狭い屋上で卵から幼虫になって成虫にまで育つわけがない。どこからかやって来たのは間違いない。 蝶ならば、まだ理解できるのだが、羽があるとはいえカマキリである。
  緑などほとんどない大都会六本木にカマキリが生息していたのである。その敏捷なハラビロカマキリは、ほんの数分間、目を離した隙に姿を消してしまった。その後はどこを探しても見つからなかった。

  このように、ビルが建ち並ぶ都会の真ん中であっても、生き物は果敢に生きている。ビルの谷間にも自然の素地がまだ残されている。アスファルトで覆い尽くされたはずの隙間にも土が存在することを実感した。
 都会には自然がないのではなく、ほんの少しのブルーベリーの緑によってでも、その隙間に小さな自然を創り出すことは可能なのである。
  最後の写真は、六本木ヒルズ森タワーもぼんやり霞む雨上がりに、北部ハイブッシュ系品種ブリジッタ(Brigitta)の枝に留まって前足についた水滴を口に含むクサカゲロウである。


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