六本サイトの発信地は、東京都港区六本木にある。
六本木ヒルズ、東京タワー、泉ガーデン、そして旧防衛庁跡地において開発中の東京ミッドタウンプロジェクトの4地点を結ぶひし形の中に位置している。
当然、周囲に緑の多い環境などは、ほとんど存在しないといっていいだろう。多くのビルが建ち並ぶ過密地帯であるが、それでもなお「平面過密・立体過疎」とまでいわれることすらある。しかし、上空を見上げれば、空があり太陽が降り注ぐ環境だけは最低限存在する。
そのような環境下において、ほんの数鉢のポット栽培ならばともかく、累計100品種を超えるブルーベリー栽培は、ひとつの実験だったのかも知れない。もちろん系統や品種にもよるが、北米を原産とする品種が多いブルーベリーにおいて、その品種特性などは、東京という温暖な環境では発揮されようがないはずだ。
まして、地表のほとんどすべてをアスファルトで覆われ、エアコンの室外機や車の排気ガスによって、気象庁の百葉箱で計測された気温よりも格段に高い状態に保たれたヒートアイランドなのである。
また、汐留の高層ビル群の誕生によって、海風さえも遮られ、さらなる温暖化を迎えたといわれている地域である。
しかし、実際には非常に美味しい果樹であるにもかかわらず、その日持性と輸送性に乏しいという果実特性ゆえ、その美味しさを享受できないブルーベリーを十分に味わうことは可能となった。
つまり、日本では多くの人が体験できていない「本当に美味しいブルーベリー」を大量に享受することができたのである。
さらに、そのブルーベリーという題材をきっかけとして、モノを見る目を養うことができた。そして、興味や関心も極めて多岐な分野へと拡がるとともに、その奥行きというものも確実に深くなった。
もちろん、栽培自体については、土地利用型に分があるのは当然で、これについては言及のしようがない。しかし、興味と探求心から多くの産地を見学することによって、農家の努力を真似る忍耐など自らには存在しないことも思い知ることができた。
その一方で、研究や考察、あるいは着眼点や発想、さらにはその表現方法等においては、このブルーベリーという題材によって、全く別なステージにおいても、極めて柔軟で新規性のある発想や提言が可能となる能力が身についたと考えている。
そして、それは極めて急激な変化に順応することを余儀なくされる都会という環境において、ある種異質な題材から養われたものであることに、さらに意味があると考えている。また、それは、どこよりも早いインフラの整備や充実、あるいはそれに伴う情報の中枢ともなりうる都会の優位性によるものであったと考えている。