ペリカン「四神」シリーズ

四神とは

 四神とは天の四方の方角を司る霊獣。東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武とされています。日本では、東西南北に四神を見立てて建立された平安京が有名ですが、広く一般に知られるようになったのは風水ブームやコンピュータゲームに、これらが登場することによってだといえるでしょう。

 ペリカンの限定万年筆シリーズの最高峰は、この「四神シリーズ」と「Originals of their timeシリーズ」といえるでしょう。それ以降も限定シリーズは存在するのですが、高度な職人技が介在するものは、この2シリーズだけだといってもいいでしょう。

ペリカン四神シリーズ

 

ペリカン固有の象嵌技術

 その各々のボディは、ペリカン固有の職人技ともいえる象嵌技術によって、霊獣が描かれています。「万年筆ミュージアム」制作時点は、このうち初代の「青龍(ゴ-ルデンダイナスティ)」だけが入手できずに掲載することができませんでした。同じドイツのメーカーながら、モンブランとは方向性の違う限定万年筆を輩出するペリカンを象徴的するシリーズだといえます。

 1本1本に手造りが介在する製品には、職人の個性や技量が現れてきます。それを個性(バリエーション)と捉えるか、バラツキ(レベル)と捉えるかは微妙なところで、モンブランの「ロレンツォ・デ・メディチ」と同様にいくつものサンプルを比較して評価してみなければわからないことでしょう。

ペリカン四神シリーズ

 残念なことは「Originals of their timeシリーズ」と同様に、シリーズとしての統一感に欠けることです。それは、極めて一貫性のないケースのサイズ、デザイン、そして構造。さらに、象嵌部分裏側の合わせの有無が存在することなど。あるいは四神の各霊獣に象徴すべき色が存在するにもかかわらず、その不一致などが見受けられることです。これらは、長期的な商品化計画を構築できない万年筆という小さなマーケットのやむを得ない部分だといえるのかもしれません。このシリーズは、それ(万年筆マーケット自体)を象徴した存在なのです。