品種の同定とは

 1900年代初頭、アメリカのニュージャージーで品種改良に着手されたブルーベリーは、1世紀を経ずしてその品種数は数百を超えるに至りました。しかし、これだけの品種数を誇りながら、その品種間異差が微妙であることには変わりありません。また、一部では品種同定自体の必要性を否定する意見さえあります。

 しかし、1品種を詳細に観察するならば、葉芽、花芽、蕾、花、芽吹き、葉、幼果、熟果、実着き、樹高、樹形、樹勢、紅葉、休眠期などの状態の中に、その品種固有の特徴を見いだすことができるのです。また、他品種に通じる特徴であっても、別の特徴が重なったところに、その品種を同定する手掛かりが存在します。あるいは、複数の株を観察することによって、その相対的な比較から、それが可能となる場合も多いのです。

Reveille/Misty

 ブルーベリーの品種同定とは、それ自体が可能か否かということではなく、実際に存在する品種の特性を把握し、それに応じた栽培法や流通販売方法、さらには利用法を考える上で非常に重要なことなのです。それを無視した延長線上には将来などないはずです。現在、市場流通している果実の中で、品種が問題にされないのはブルーベリーくらいではないでしょうか。それは、果樹としての1カテゴリーが、いまだに認められていないことを意味するのです。

品種による違い

 摘み取り園用の品種は別として、市場出荷に向く品種と不向きな品種は間違いなく存在し、その差は歴然たるものです。ブルーベリー生産農家は、送り出すまでしか状態を確認できないのです。そこから宅配業者を通じて実際に消費者の手に渡るまでの間に、品種の違いによって差が生じるのは当然のことです。 日持ち性に乏しく傷むのがブルーベリーの宿命かもしれませんが、それを言い訳にして品種同定を怠ってはいないでしょうか。

 たとえば、消費者に届いた5分の1が傷んでいた場合、その比率をブルーベリーの性質にしてしまうのは簡単ですが、もしもその5分の1が傷みやすい品種であったならば、それを出荷から排除することによって、100%の美味しいブルーベリーを提供できていたかもしれないのです。

 今後、日持ち性と輸送性に優れた南部ハイブッシュ系のパテント付き新品種が普及してきた場合、生産規模ではかなわない日本の農家に残された唯一の優位性とは、それよりも優れた果実品質を持つ北部ハイブッシュ系品種の流通しかないはずです。市場出荷が輸入品に押されるなら、加工用途や摘み取り園に特化するなどという後ろ向きの発想では、勝ち残れはしない気がしてならないのです。私が見てきたブルーベリーのキロ単価を上げていっている数少ない農家は、常に積極的な攻めの姿勢でいるものです。