おしゃれに演出するガーデニングなどといいながら、その脇役であるテラコッタ(素焼きの植木鉢)は、ほとんど注目されていないようだ。世界にはデザイン性に富み、装飾に凝ったブランドテラコッタが多数存在するにもかかわらず、日本ではそのメーカーやブランド名を認知している人は極めて少数であろう。ブランド好きの日本人であるはずが、この点においては全く不思議な限りである。
ガーデニングブームによって、一時はもてはやされたが、現在では軽くて扱い易いプラバチ(プラスチック製の植木鉢)がメジャーには受けがいいらしい。実際、園芸店やホームセンターでよく売れているものは、プラバチばかりである。もちろん素焼きのテラコッタコーナーはあるのだが、そのほとんどが低価格な輸入品ばかりが目立ち、本来的には別カテゴリーであるはずのプラバチと価格競争となっているようだ。なお、安価な輸入品のテラコッタは、その製造元の経験値の乏しさから、製品クオリティに問題があるものを多数見かける。
どちらにせよ、ブームによって増加した日本の「似非ガーデナー」は、ガーデニングの脇役であるテラコッタ自体には、あまり興味がないようだ。本来的には植物の根にやさしいはずの素焼きテラコッタの吸水性(通気性)は、それゆえ苔が生え易く見た目が美しくないと思われがちである。それよりは、易くて、壊れにくく、型押しの均一な装飾が施されたプラバチが都合がいいのは当然かも知れない。
しかし、ガーデニング発祥の地であるイギリスをはじめとした伝統と経験のあるメーカーの製品は確かにひと味違う。
今までは、すぐに苔が生えて美観を損なうとさえ思っていたテラコッタの奥深い魅力がようやくわかってきたような気がする。「都会で楽しむブルーベリー」においては、強いビル風で倒れてしまわないためにも、軽いプラバチよりも、重厚でしっかりしながらも通気性に富んだテラコッタが最適である。
ましてや、都会という限られた栽培スペースであるがゆえに、美観とともに得られる満足感という価値をもっと重視してもいいのではないだろうか。
さらに、その複雑で重厚なデザインや装飾に凝ったテラコッタは、苔生して存在感を増すだけでなく、その僅かな隙間には植物までもが芽生えることもある。これらは、テラコッタの中でブルーベリー以上に旺盛に根を張ってしまう雑草とは異なり、別な意味での「趣」を感じさせてくれるものである。
イギリスには、テラコッタの2大ブランドとして、双璧をなすウィッチフォードポッタリー(Whichford Pottery)とペンブリッジテラコッタ(Pembridge Terracotta)がある。
長い伝統と歴史のあるイギリスの「ガーデニング」と、アメリカにおいても歴史の浅い「ブルーベリー」とは不釣り合いのような気がしたが、長い間、使い込むことによって「苔生したテラコッタ」には、古いビッグセブン(ブルーベリー七大品種)の大株が、最も似合う。
多くの製品ラインナップのうち、ライオンをモチーフとした極めて肉厚で重厚感のあるペンブリッジテラコッタには、1949年開発の最も古いビッグセブンの1品種である「バークレイ」の大株が、その風格とともに非常にマッチしている。

適度に開帳性のあるバークレイは、歴史と伝統のある英国製テラコッタにしっかりと根を張って、その大粒の果実と豊産性を誇るとともに、その重厚なテラコッタに支えられて、都会の屋上での強いビル風にも微動だにしていない。