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石川県能登半島の柳田村は、古くから極めて熱心にブルーベリー栽培に着手した地域である。海に囲まれた能登半島で唯一海に面していない中山間地であり、過疎化が急激に進む柳田村は、その脱却を目指し、村おこし対策として早くからブルーベリーに注目していた。そして、1993年には、第一回ブルーベリーシンポジウムの開催地となるとともに、日本初の公営ブルーベリー農場、第三セクターによるブルーベリー加工品の製造販売などによってブルーベリーの産地化に成功した。
しかし、ブルーベリーへの取り組みが早かったがゆえに、導入当初の異品種混入のあおりを受けて、それだけ品種の混乱も多かった地域であったともいえる。
どちらにせよ、柳田村から到着したスタンレイは、その導入経路をしっかりと確認する必要があった。しかし、やはりあまりにも古いことで、その詳細は全くといっていいほど明らかにならなかった。ここでも、この株が、昔からスタンレイであるとされてきた品種だという曖昧な回答しか得られなかたのである。
しかし、私には、そのようなことよりも、むしろ、日本の古い産地である柳田村に、実生などによって増殖されたものでないにもかかわらず、今まで見たこともない品種が存在していたことが、ある意味衝撃だったのだ。
この柳田村のスタンレイの観察で、興味深かったのは葉が鋸歯であったことだ。
北部ハイブッシュ系品種で、葉が鋸歯であるものは極めて少ないのである。今のところわかっているものとしては、ビッグセブン以前は、なんと1926年開発のランコーカスのみである。その後は、ローブッシュが交配されたパトリオット(1957年)、そしてブリジッタ(1978年)とサンライズ(1988年)に鋸歯が見られるのみである。それ以外は、やはりローブッシュが交配されることの多い新しい系統である半樹高ハイブッシュ系品種の特徴として多く見られるのみである。
北部ハイブッシュ系品種では、その他にブルーレイやコビルなどにも鋸歯が見られることもあるが、それは成長期の一時期だけであり、葉がしっかりと展開すると、その鋸歯はきれいに消えてしまうのである。
だとするならば、鋸歯を特徴とすることが多い半樹高ハイブッシュ系品種が導入される遥か以前から、柳田村でスタンレイとされてきたこの品種は、一体なんなのだろうか。この古い品種が、実は本当のスタンレイなのだろうか。そのような新たな疑問を孕みつつ、「本物のスタンレイ探しの旅」は、再び白紙に戻ることとなった。
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