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横田氏は、岩手大学教授時代に、私同様に、やはりこのスタンレイの葉が気になって、クロロシスであるかどうかを科学的に調べてみたそうである。そして、その結果は、マイナスと出たそうである。つまり、クロロシス症状にも似たこのスタンレイの葉は、鉄やマンガンが少ないために起こるクロロシスではなく、葉の特徴そのものだということがわかったということである。
さらに横田氏は、改良品種の育成にあたって、外形的に悪い形質を持った品種をわざわざ親品種として交配するとは、考えにくいとも付け加えられた。陰性と出た葉の検査結果も含め考えると、確かに極めて説得力のある内容である。
私は、別の意味で同じような疑問を持っていたのである。ビッグセブンのみならず、スタンレイが、直接あるいは間接的に関わった品種に、この葉の特徴を持つ品種は皆無なのである。そして、それは外側にたわむという形状においても同様なのである。
私は、ブルーベリーの専門家でも研究者でもないが、果実品質、耐病性、樹勢などはともかく、極めて単純な外形的特徴は非常に引き継がれやすいと考えている。バークレイを親品種とするブルージェイやブルーヘブン、ノースランドには、丸い果実をつけるという特徴が確実に引き継がれている。これを偶然と否定する方もいるが、私はそれを確信している。
私は、ブルーベリーに興味を持ち始めた当初に、ブルージェイやブルーヘブンは果実が丸いという特徴に気が付いたのであるが、その後、双方の品種とも交配親の一方がバークレイであったのを知り、当時、新鮮な驚きを覚えたのだった。
また、ローブッシュが交配された品種は、そのほとんどは葉が鋸歯になるのも、単純な外形的遺伝の例であると考えている。今のところ、半樹高ハイブッシュ系品種では、唯一ノースブルーにのみ、その傾向が見られないだけである。
さらに、ラビットアイ系品種では、ブルームが多く葉が細長いエセルから派生した系統には確実にその傾向が見られる。逆にブルームが少なく葉が幅広なマイヤーズから派生した系統にも同様にその傾向が見られるのも事実である。
だとすると、この極めて個性的な葉を持ったスタンレイという品種が、北部ハイブッシュ系品種を代表する品種の多くの交配親であるとするならば、そのうちの1品種くらいには、その傾向があらわれてもよさそうなものである。
これだけ多くの優良品種を生み出したはずの親品種スタンレイの葉に、その子孫は、どれも全く似た品種が存在しないのである。
科学的裏付けなど全くないのであるが、人間が対象物対して特別な感情をもって感じ得たこのような「勘」というものこそが、過去の人間の叡智の一端を司ってきたものと私は確信しているのである。
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