前述のように「ブルーベリー大図鑑」制作における「本物のスタンレイを探しての旅」の副産物として、古い3品種を確定することができた。
しかし、日本のブルーベリーの歴史は、品種混乱の歴史でもあり、ブルーベリーの母国アメリカにおいても、それが同様であったとするならば、結局ところは、その正確な品種同定や品種名の確定は、もはや不可能に近い。
しかし、この3品種は、その品種名がいまだ不明でありながらも、日本のブルーベリー黎明期に導入され、日本のブルーベリーの歴史にしっかりと関わった品種であることは間違いない。これらは、北部ハイブッシュ系初期の開発品種、あるいは野生からの選抜品種のいずれかであるはずだ。
そして、日本に初期に導入されたブルーベリー品種自体が、曖昧なものであったという事実によれば、もしかしたら、これら3品種のうちのどれかが、本当のスタンレイである可能性も秘めている。
また、これら、3品種がここに確定できたとしても、この3つに「名称(品種名)」をつけたりするような馬鹿げたことをしてはならない。安易な実生による育種や形質の違うブルーベリーを見つけては、勝手に命名して販売したり、場合によっては商標登録をしたり、種苗登録までにも至るようなケースが見受けられる。
販売対抗上行われた、ブルーベリーの商標登録合戦も不毛で愚かな行為であったが、たぶん、今後は日本の気候においての試作というものを全く無視し、実際の安定性や適応性の確認をないがしろにした種苗登録品種が多数登場してくるはずである。
本来的には、安易な種苗登録は、自らプライドと尊厳を損なうものであるにもかかわらず、営利と名声のみを追求する育種者には、それが全くわかっていない。
私の知りうる限り、ブルーベリーに本当の愛着と信念とプライドを持った育種者は、すでに、アメリカやニュージーランドが開発した既存優良品種に対抗しうるほどの極めて優良な品種の開発に成功している。
しかし、彼らの信念とプライドは、先の日本固有の気候風土への適応性や安定性を完全に確認するまでは発表など行わない。つまり、異常気象までも視野に入れた自らの厳しい基準をクリアしない限り、そのリリースなどあり得ないのである。
にもかかわらず、これから多数登場してくるであろう、形式上は農林水産省の種苗登録クリアした多くの新品種の登場によって、ブルーベリーは、また別の意味での品種混乱が起こるはずである。
しかし、有象無象が渦巻いた後、本当の意味で消費者のレベルが向上してくる可能性があるならば、必ず最後には、本物だけが生き残る時代が到来すると私は確信している。