擬人化作品

 海外でのヴィエナ・ブロンズの販売例を見てみると、そのサイズの大小にはあまり関係がなく「Real Sculpture(リアル)」と「Whimsical Sculpture(奇妙な)」に大別されていることがあります。

 私は、当初リアルな自然動物のカテゴリーにのみ興味があり、擬人化されたものにはほとんど関心がありませんでした。それを一変させてくれたのが、以下の2作品だったのです。

 「ニワトリ泥棒のキツネ」は、右手に網袋に入ったニワトリをぶら下げ、左手には足を縛ったニワトリを抱えています。そのキツネの仕草や観念したかのようなニワトリに表情に魅せられたのだと思います。一方「ニンジン売りのウサギ」の表情やスタイルも、また絶妙なものだと思いました。

擬人化作品

 モチーフとなっている動物たち自身のリアリティ感を伴った擬人化という面白さだけでなく、すべての周辺パーツ一つひとつに至るまでの繊細で手の凝った造りにも大変素晴らしいものがあります。そして、そのすべてがブロンズで出来ており、それらにも固有で繊細なペイントが施されています。ここに、単なる「小さくて繊細でリアルなオブジェ」を超えて誰もが共通に笑えて、かつ作品として感動できる要素を感じるのです。

擬人化作品

 人間は、何らかの固定概念から解放された時の開放感や快楽をきっかけに「笑う」とされているようですが、ヴィエナ・ブロンズの「whimsical」カテゴリーにはその要素を多分に感じます。さらに、それを繊細に造り上げたことに対する感動があるとともに、過去の歴史や文学などの要素も包含されているのです。このあたりが、私の探求心をさらに刺激するのです。

 このような擬人化作品を見ているうちに、私は小さい頃に心惹かれた「鳥獣人物戯画」に共通するものを感じ、自分自身の一つの「表現」としてヴィエナ・ブロンズを使って、それを再現してみようかと思ったのです。

【→鳥獣ヴィエナ・ブロンズ戯画