鳥獣人物戯画の記憶

 一般的な認知度が極めて低い「ヴィエナブロンズ」。自らがそこに感じた「魅力ある何か」を表現してみようと思った時、記憶の片隅にあった「鳥獣戯画」が浮かんだのでした。なお、私は単純に「鳥獣戯画」と記憶していたのですが、正確には「鳥獣人物戯画」なのです。

 今となっては遙か昔、高校の教科書でこれを見た時、「ヴィエナ・ブロンズ」に初めて出会った時と同じような「不思議な魅力」を感じたような気がするのです。

 この「ヴィエナ・ブロンズ」というきっかがなかったならば、「鳥獣人物戯画」をあらためて調べ直してみようとも思わなかったかもしれません。実際、「鳥獣人物戯画」は記憶にこそあったものの、それが一体どこにあるのかまでは全く憶えてなどいなかったのです。そして、それが高山寺(京都)の所蔵だと知り、そのエッセンスを理解するためには、是非ともそこを訪れる必要があると感じたのでした。

 「鳥獣人物戯画」の記憶として特に印象的だったのは、やはり擬人化されたウサギとカエルが相撲を取っているシーンです。本来、大きさが全く違うはずの両者が対等に張り合って、カエルがウサギの耳に噛みついたり、投げ飛ばしてしまうという印象的なシーンがあります(以下~京都栂尾山高山寺石水院に展示の模写より)。

鳥獣戯画イメージ

 

 「鳥獣人物戯画」と「ヴィエナ・ブロンズ」は、双方とも擬人化された野生動物などがモチーフになっています。また、擬人化されたカエルというモチーフも、ヴィエナ・ブロンズには比較的多く存在します。さらには、私が最初に心惹かれたヴィエナ・ブロンズが「ウサギの紙ばさみ」であったことにも何かの符合があるのかもしれません。そのようなことを背景として「「鳥獣維納青銅戯画(ヴィエナブロンズ戯画)」の制作を思い立ったのでした。

鳥獣戯画本

 制作にあたって参考にした文献は、「十二世紀のアニメーション-国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの(高畑勲著:徳間書店)」、「鳥獣人物戯画(辻惟雄著:小学館)」の2冊です。

 このうち、前者はすでに所有していたわけで、私にとっての「鳥獣人物戯画」は、やはり子供の頃からずっと興味を持ち続けてきたものだったようです。