アンティークの修復

 歴史的価値のある古代壁画や建造物、あるいは美術品などの修復は、その価値を保全するために定期的に行われます。また、多くのアンティーク製品に対して施される高度な技術に裏打ちされた修復は、その価値を維持し高めるものだといえます。

 1850年頃がその発祥とされるヴィエナ・ブロンズのうち初期のものは、さすがに頑強なブロンズ細工といえども多くの損傷が見られるものがあります。また、最大の特徴でもある多色塗りのコールドエナメルも、それほど耐久性に優れたものとはいえず、経年変化のみならずペイントが剥げ落ちたものも少なくはありません。

ロシアン・ボルゾイ

 実際のところ、各々の作品が様々な環境下で長い時間を過ごしてきた結果、その状態は千差万別です。損傷もなく修復もされることなしに時間経過に見合ったエイジング感のみを醸す逸品や、修復の技術レベルが非常に高く最善の保管状態だったか否かの見極めすらつかない作品も多数存在します。

 「マイノリティーアート」ともいえるヴィエナ・ブロンズは、一般的にいう美術品や芸術品というよりも、普通のオブジェとして扱われてきたという経緯があるため、雑な扱いによる大きな損傷が見られるものがあります。さらに、素人同然の極めて低い技術レベルでの修復も比較的多く見られます。

 そのように明らかに修復の痕跡が感じられる作品と比較するならば、下の写真のような状態は、損傷があるにもかかわらず手が加えられていないだけ「ピュア」な状態であるともいえます。これを相応の技術を持って修復するのもひとつの価値ですし、仮にそのままの状態であったとしても、アンティーク固有の趣を十分に感じさせるものといえるでしょう。それは、もはや好みの問題であり、修復するか否かはオーナーに委ねられる判断だといえるでしょう。

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