ブルドッグ

 誰もが知っている「ブルドッグ(Bulldog)」は、「Bull(雄牛)」+「Dog(犬)」のことです。ブルドッグは、かつてのイギリスで遊興(見せ物)のために、犬をけしかけ雄牛と戦わせる目的で作られた悲しい犬種なのです。現代感覚で、その開発目的を辿ってみると信じがたい事実に行き当たります。

ブルドッグ

 自分より高い位置にある牛の顔面に噛みつきやすいように作られた醜い?顔、牛の角による攻撃に耐えられるように作られた硬くたるんだ皮膚、牛の顔面に噛みついた後にその怪力で振り回されても首が折れないように作られた特殊な体型、それゆえ下半身は信じがたいほど細く、骨盤は極めて貧弱なものになりました。したがって、出産における自然分娩は非常に難しかったともいいます。

ブルドッグ

 アンティーク作品ゆえ、ブルドッグの「原型」が極めてリアルに再現されたヴィエナ・ブロンズを見ると、現在の愛玩犬とは全く異なる印象とともに、人間の身勝手さを考えさせられる気がします。

ブルドッグ

 ブルドッグは、英国の国犬(national dog)でもあります。かつての英国では、見せ物であり賭け事でもあった「牛攻め(bull-baiting)」が大流行していたといいます。前述のようにブルドッグは、この「ブルベイティング(bull-baiting)」用に開発されたことからこの名が付いたといいます。

 「baiting」とは、「犬で野生動物を攻撃すること」という意味を持つ名詞です。用例として、「bear-baiting(くまいじめ)」や「badger-baiting(アナグマいじめ)」などがあるようです。英国貴族のたしなみとされた「フォックスハンティング」も、キツネを犬に噛み殺させるだけだったといいますから、当時はこれも「ベイティング(baiting)」にほかならなかったのでしょう。

ブルドッグ