人間と犬の関係

 現在、人が犬を飼う理由は、その多くは「愛玩『トイ(Toy)』」ということになるでしょう。しかし、人間が犬を飼育しはじめた最初の理由は、それとはかけ離れたものだったのです。つまり、明確な目的として「狩猟『ハウンド(Hound)』」があり、「使役『ワーキング(Working)』」があったのです。したがって、既存の犬種開発のほとんどは、そのような目的を達成するために積極的に行われてきたものなのです。

 実際に、そういう意識を持って犬種名を思い浮かべれば、その意味を考えもせず棒暗記してきたことに気がつくでしょう。鹿(Deer)狩りのための「ディアーハウンド」、オオカミ(Wolf)狩りのための「ウルフハウンド」、キツネ(Fox)狩りのための「フォックスハウンド」あるいは「フォックステリア」、カワウソ(Otter)狩りのための「オッターハウンド」、アナグマ(Dachs:独)狩りのための「ダックスフント(Dachshund『hund=犬:独』)」、そして、羊(Sheep)を誘導する「シープドッグ」、シェパード(Shepherd)とは羊飼いの意味。

 なお、テリア(Terrier)の語源には「穴を掘る」という意味があるそうです。つまり、テリアがつく犬種は、すべて土の中や穴の中に潜むモグラなどの小動物駆除を目的として開発されたものなのです。

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 そのような背景を鑑みると、現在の中心ともいえる「愛玩『トイ(Toy)』」の歴史の方が、いかに短いのかということが容易に理解できるでしょう。そして、現在は、かつて極めて明確であった各犬種の開発目的など、全く意味を持たない時代になったことを思い知らされる気がします。

 本来、ネコ好きであった私が「人間と犬の関係」をはじめとして、犬種開発の歴史にこれほど興味を持ったのは、ヴィエナ・ブロンズのモチーフとして存在する多くの犬たちがきっかけでもあるのです。