Chateatu Lafite Rothschild 1970年

「ラフィットの樽でできた万年筆」からヴィンテージワインへ

 万年筆への興味、そして「ラフィットの樽でできた万年筆」との出会い。そんなきっかけからワインに興味を持ち、親しいソムリエに促されて自らが初めて積極的にチョイスしたワイン。それは当然ラフィットでした。

 以前から懇意にしていたフランス料理店のソムリエに、その万年筆を見せると、当然のことながら興味を示すとともに、「やはり今日はラフィットでしょう!」と、その時オンリストされていた「シャトー・ラフィット・ロートシルト1970年」を示してくれたのでした。

 もともと「食」というものには人一倍興味があり、フレンチにも比較的多く出向いていたものの、赤ワインが美味しいと思ったことはほとんどありませんでした。その時まで、赤ワインとはアルコール飲料の中で私が最も嫌いなカテゴリーだったのです。

ラフィットの万年筆とワインリスト

 「ラフィット1970年」に対する私の率直なファーストインプレッション、それは「薄い」というものでした。しかし、同時に「これなら飲める!」そう感じたのも事実です。そして、これこそが40年近くもの年月を経たワインの「熟成」というものだということを理解したのです。

 ヴィンテージワインの飲用経験に乏しく、若くて重く感じるワインに接する機会しかないマジョリティの一人として、相対的に「薄い」と感じたのは、今思うと至極当然な気がします。一般的にフランス料理店でのワイン選びでは、多くの場合料理よりも高額となる出費なくして、長熟なヴィンテージワイン本来の「熟成感」を体感しようもないことでしょう。

 私にとって、今まで赤ワインが最も嫌いなアルコール飲料であった理由は、一般市場で圧倒的多数を占める「若くて重い赤ワイン」が嗜好に合わなかったということだったのです。そして、この「ラフィット1970年」の飲用経験によって、ヴィンテージワインとは、それとは全くの別物であることを納得するに至ったわけです。

 アルコール飲料全般の中では、その一部でしかないワイン、またその中のほんの一部でしかないヴィンテージワインとは、いかにマイナーで一般には疎遠なカテゴリーであるかをあらためて感じた気がしたのです。

Lafite1970