Chateau Latour 1961年

ムック本のワイン記事

 あるムック本のワイン記事を見ていたら、伝説的ヴィンテージといわれるラトゥール1961年が、そのトップページを飾っていました。そして、その後、偶然にも、その撮影対象となったワインそのものを飲むという幸運に恵まれたのでした。その時の空き瓶も抜栓したコルクも、いつものように記念に持ち帰った翌日になって、再びその誌面を開いた時、この事実に気がついたのでした。

 ラベルの下部にある二つの小さな傷、「GRAND VIN」と印字された右上にあるラベルのシワ、まさにムック本に掲載されていたワインそのものだったのです。

Latour1961

 

 ボルドーワインには、1945年、1961年、1982年、2000年など「世紀のヴィンテージ」と称される年がありますが、この時に飲んだラトゥール1961年のファーストインプレッションは「いまだに若い!」「まだ早い!?」と感じさせるものでした。抜栓後すぐのテイスティングということもあったのでしょうが、かつて経験した同じく50年を経た別銘柄の1961年とは全く異なる印象であり、ラトゥールの凄みを感じた気がします。そして、この1本によって「世紀のヴィンテージ」とまでいわれる本当の意味がわかった気がしました。それは、知識や頭だけでの理解を超越した貴重な体験だったと思っています。

 と同時に、このラトゥールのような存在となるであろう以後の優良ヴィンテージは、自分が生きているうちに飲む代物ではないという思いがよぎったのも鮮明に憶えています。実際、多くの書籍に掲載されていることですが、同じく伝説的なヴィンテージとされた1928年のラトゥールが熟成して丸くなるのに、なんと50年もかかったといいます。また、ラトゥールの愛飲家たちは、新たな優良ヴィンテージのラトゥールが生まれるたびに「自分が生きているうちにはこの美味さを味わえないだろう」と冗談まじりに嘆くと言いますが、この時はまさにその感覚を共有し実感したのでした。