コルクに感じる付加価値

 ワインのコルクのほとんどは、コルク樫の樹皮を刳り抜いたもので造られています。天然素材を使用しているということから、このコルクにも全く同じものは二つとありません。
 ほとんどのコルクにはシャトー名あるいはドメーヌ名、そしてヴィンテージなどが刻印されており、ラベルのようには注目されていませんが、ラベルよりもさらに個性的なものなのです。

Mouton1970

 長い年月にわたってワインが染み込んだヴィンテージワインのコルクは、様々な表情を見せてくれます。そして、古いほど抜栓に困難を極める上、時間が経つと抜栓した時の状態や形状を保つものはほとんどありません。染み込んだワインが乾燥することによって時間経過とともにどんどん収縮してしまいます。したがって、抜栓時のコルクの状態や形状も、そのワインを味わった瞬間と同様に唯一無二のものなのです。

HautBrion1982

 

 キャップシールで覆われているものの、良好な状態(高い湿度)で保管されていたヴィンテージワインほど、その表面にはこってりとカビが付着しています。しかし、中のワインはコルクによってしっかりと守られているのです。ただし、長期間にわたる外からの湿度と中からのワインの吸着によって、コルクは相当に脆い状態になっています。したがって、古いヴィンテージワインほど抜栓時の破損可能性が高く慎重を極めます。それが見事に抜栓できた時には、ある種の快感さえ感じることがあります。

コルクの抜栓

 

 また、コルクにもラベルと同様にシャトーやドメーヌごとのデザインがあります。以下の写真は、「シャトー・ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton Rothschild)」のコルクですが、70年代と80年代とでは、そのデザインだけでなく印字の向きなども異なるものとなっています。

ムートンコルクラインナップ

 このようにコルクはワインに欠かせない存在のように思えますが、最近では品質を安定させる理由やその簡便性から、従来のコルク栓に代わってプラスチックやアルミのスクリュー栓などが使用され始めています。

 しかし、このコルク樫の樹皮を利用するという知恵は、すでに3000年も前から行われていたともいわれており、ワインとコルク栓には長い歴史があるだけでなく、その文化ともいえるものが根付いてもいるのです。

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