ワインの「アート性」。

 私は、ヴィンテージワインには「アート性」が秘められていると感じます。そこには、時間経過によってのみ創りだされる唯一無二の「希少性」があるとともに「儚さ」や「不確実性」が共存するからだと思っています。

 そして、ワインに強い感銘を受けて以来、その感動や瞬間を「記録」としてとどめておきたいという衝動から、「フォトグラフィー(写真を撮ること)」をあらためて深く考えるようになった気がしているのです。

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 ヴィンテージワイン固有の素晴らしさのひとつに「熟成感」があります。これがヴィンテージワインを嗜好する人たちにとっては最大の魅力だといえるでしょう。しかし、私はヴィンテージワインの魅力を、ボトルの中の飲み物としての存在だけではなく、ラベルにも、コルクにも、さらにはそのボトル自体にも非常に強く感じているのです。これが、一般的なワインラヴァーとは違い、変わっていると指摘される所以かもしれません。

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 また、ワインを取り巻く調度品や食文化にも非常に長い歴史があり、それらは私にとって興味が尽きないものばかりです。このような「付加価値」の存在も含めて、私はワインというものに「アート性」を強く感じているのだと思います。

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 したがって、自らがチョイスしたワイン自体のみならず、それを享受した時間や空間のすべてが「唯一無二」の儚いひとときだと感じます。それは、時とともに味が変化していくワインの性質と同様に、儚いがゆえに貴重でもあると感じるのです。

 その感動や瞬間を「記録」として写真にとどめておきたいという衝動からの発した「フォトグラフィー」への興味は「表現」を意識してシャッターを切ることへと変化し、その瞬間というものにさらになる脈絡を配して「再構築」してみることにも、多大な興味を持っています。

 このヴィンテージワインとの出会いによって、私は「スティルライフフォト(Still Life Photo)」という概念を知るとともに、「フォトグラフィー」の世界がさらに拡がっていった気がしています。

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