コルク樫の森とイベリコ豚の生ハム

 「ワインのコルクに代わるスクリュー栓需要が拡大することによって、10年以内に地中海西部ではコルク樫の森の4分の3が消失し、雇用や生態系にも悪影響が出る恐れが懸念される(Up to three quarters of the unique cork oak forests of the Mediterranean could be lost within 10 years because of the increasing popularity of the screw-top wine bottle.)」との予想が世界自然保護基金より発表されています(2006年)。

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 ワインのコルクは、コルク樫の樹皮を刳り抜いて造られます。コルク樫は、約9年ごとに樹皮が3cmの厚さに達すると剥ぎ取られますが、樹皮は幾度も再生するのです。 このコルクが利益を生むことによって、コルク樫の森が人によって管理され、生態系が維持されているといいます。人が管理せずに放置された森では、山火事などの発生も後を絶たないともいいます。つまり、コルクをワインの栓に使用して消費することは、森林伐採や自然破壊ではなく、むしろ自然保護と生態系の維持に役立っているのです。

 イベリア半島南西部、スペインのエストレマドゥーラ(Extremadura)地方には、コルク樫やセイヨウヒイラギ樫が、まばらに繁る「デエサ」と呼ばれる景観が拡がっています。 このスペインからポルトガルにまたがる「デエサ」で生産されるコルクは、全世界の生産量の70%近くを占めているといいます。

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 また、この「デエサ」のもう一つの役割として、「モンタネラ(montanera)」といわれるイベリコ豚の放牧が行われます。出荷前の6ヶ月間、コルク樫やセイヨウヒイラギ樫の実(どんぐり)を食べたイベリコ豚は、最高級のランク付けである「ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ(Jamon iberico de bellota)」(=ドングリを食べたイベリコ豚の太もも)として出荷されます。

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