市場化の検証(4):加工品(ブルーベリージャム他)

フレッシュブルーベリーの本格的市場化のヒントとして、ジャムを中心として加工品への可能性を調べてみました。なお、ここでの記述もブルーベリー市場化プロジェクトで作成したレポートをWeb用にリライトしたものとなります。

 

■はじめに

ブルーベリーというカテゴリー自体が、いまだ明確な市場を形成していないため、私の評価としては「本当に美味しいブルーベリー」同様に「本当に美味しいブルーベリージャム」と出会うことも「運」に近いものといえます。素材がブルーベリーであることに依存しているだけに過ぎないでしょう。

実際のところ、私の基準では「食すに堪えないレベルの製品」が多いのも事実です。また、ブルーベリージャムのエキスパートと自負する者でさえ、品種ごとはおろか、ニーズから発生した”特定の”複数品種をミックスしたジャム作りの経験自体極めて乏しいと考えられます。これは、ブルーベリーの品種問題とも密接に関係するため、この推測における妥当性も極めて高いものだといえるでしょう。

したがって、現在最高の経験と実績を誇るブルーベリージャムのエキスパートが作る製品でさえ、その製品が究極である保証などどこにもなく、「いまだ発展途上における一つの完成型」だとするのが妥当な評価だといえます。ここでは、「本当に美味しいブルーベリージャム」、いわば「究極のブルーベリージャム」へのヒントを探ってみようと思います。

 

■「本当に美味しいブルーベリージャム」の概念

いまだ定まっていないブルーベリージャムの製法であるが、いくつかの基本概念は存在しています。しかし、そのどれもが少ない経験値による仮説であり、明確な検証は、いまだなされていないのです。

ブルーベリージャム

■既存の構図

既存の確立された概念(仮説)を客観的に見据えた場合、その構図は意外にも単純なものなのです。

ブルーベリージャム

■検証すべきことと目的

ブルーベリーの品種問題にも起因するのですが、すでに定説とされているものの実際には未検証の仮説を検証していくことは、「本当に美味しいブルーベリージャム」への到達の第一歩であるといえます。さらに、ここから導き出される品種特性は、このジャムの商品化のみならずすべてのブルーベリー加工品の商品化、あるいは料理素材の基本ノウハウにもなルと考えられます。

 

■ブルーベリージャムエキスパートへのヒアリング

経験値を有する生産農家および幾人かのブルーベリージャムのエキスパートへに対するヒアリング結果をまとめてみると、興味深い以下のような意見がありました。しかし、私は、これらは重要な手がかりではあるものの、仮説の域を出ていないと考えています。つまり、いまだ客観的妥当性に欠けており、検証はされていないのです。

「ランコーカスのジャムが一番美味い」、「デュークのジャムが一番美味い」、「マグノリアのジャムが一番美味い」、「ジャージーが最もペクチンが多くジャムに適している」、「ホームベルは、他の品種を生かした上での色づけには欠かせない品種である」、「単一品種でのジャムには限界があり、複数品種をミックスする必要がある」、「絶対に入れてはいけない品種が存在する(果皮の厚さ、種のサイズ、へたの問題)」、「ハイブッシュ系品種は、ラビットアイ系品種と比較してあきらかにペクチンが多い(?)」、「ペクチンと外見上の色を考慮した場合、ハイブッシュ系とラビットアイ系のミックスが必要」、「ジャム作り前の冷凍(冷蔵は可)は品質に影響する」など。

 

■現時点における総括と今後の方向性

品種特性を考慮しないブルーベリージャム(あるいは料理素材としてのブルーベリーまたは加工品)には、大きなばらつきが出ることは間違いありません。なぜならば、各品種は糖度や酸味をはじめとして、ペクチン含有量などがすべて異なるからです。

品種自体の存在や、その意義までもが希薄なブルーベリーではあるものの、ジャムの素材、加工品素材、料理素材として捉えた場合には、生食以上に品種特性への把握と配慮が必要であることは間違いないと考えられます。にもかかわらず、現時点では、その品種に対する客観的評価や特性把握は、関係機関や研究機関をはじめどこにも存在しないといっても過言ではありません。唯一あるのは、生産農家やブルーベリージャムのエキスパートたち自らが経験値を積んだ数品種に過ぎません。

今回予定している帝国ホテルでのブルーベリーフェアの品種別素材確保は、日本トップクラスのブルーベリー生産農家を集結し、その品種特性を横並びで把握できる千載一遇のチャンスであるとともに、今後もその実施は極めて困難なものと考えられます。したがって、この品種特性の把握を一つの目的としたフェアや試食会の実施は、本プロジェクトにおいては極めて重要なファーストステップであり、帝国ホテルにとっては他に先駆けてノウハウを集結できる稀有な実験の場だといえるでしょう。また、それは、ブルーベリーという小さなカテゴリーながら、日本初の試みであるとともに、すでに協力を打診した複数の生産農家に対しては、自らが栽培する品種のみならず、他地区での別品種の評価を知る上でも大きな返礼にもなると考えています。